会計士の個人ブログ

組織を成長させるときに大切だと思うこと、そしてやりがちな落とし穴

はじめに

組織づくりは、正解がないテーマです。
人も文化もタイミングも常に変化するので、どれだけ経験を積んでも「絶対の正解」は見つかりません。

ただし、組織というものを長く見ていると、
「これは押さえておくと安定しやすいな」と感じるポイントと、
「気を抜くとハマりがちだな」と思う落とし穴がだんだん見えてきます。

ここでは、特定の体験談ではなく、あくまで一般論として整理してみます。


■ 組織がうまく回りやすくなる考え方


1. 管理部門を“コスト”ではなく基盤として扱う

多くの組織では、営業や開発など「売上を作る部署」が評価されがちです。
しかし実際には、管理部門がしっかりしていない組織は長く持ちません。

  • 経理・労務の締め切りが守られない

  • ルールやガバナンスが軽視される

こうなると、どれだけ売上があっても土台が不安定になります。

一般論としては、

「管理部門の指示は優先度が高い」という文化を初期に作ること

が、長期的には最重要ポイントになります。


2. 創業初期の株式は安易に渡さない

起業したての頃は、発注や協力を得たくて株を渡しがちです。
でも、多くの場合これは後になって重くのしかかります。

  • 初期に30〜50%を渡してしまう

  • まだ会社の将来性が見えない段階で手放す

これは「未来の選択肢を早期に消す」ことにつながります。

また、

「株を渡せば協力が強まる」という期待は、現実にはほぼ機能しない

とも感じます。

株式は“資本”であって、“やる気スイッチ”ではありません。
創業初期は可能な限り100%を維持するくらいの慎重さがちょうどよいでしょう。


3. 人の「尊厳」を守ることが最も効く

組織が不安定になる理由の多くは、実務の問題ではなく人間関係です。

特に気をつけたいのは、

「いじり」と「尊厳の毀損」を混同しないこと。

  • 人前での人格否定

  • 家族や身内への攻撃

  • 役職を飛ばした指示でメンツを潰す

こうした行動は、上下関係を超えて生物レベルの反発を呼びます。

逆に、

  • 尊厳を傷つけない

  • 育成目的のフィードバックは丁寧に行う

この2つを守るだけで、組織の心理的安全性が段違いに変わると考えています。


4. 「社長」は偉さではなく、単なる役割

よく「社長=偉い」と勘違いされますが、
実際には“役割分担のひとつ”に過ぎません。

  • 社外の人脈を広げる

  • 事業全体を俯瞰する

  • 新しい知識を学んで還元する

社長が担うべきは、他のメンバーにはしづらい領域の担当です。
そこを履き違えると、余計なヘイトや誤解を招きやすくなります。

役割としての責任は大きいが、人格として偉いわけではない。
この線引きは組織にとって大事です。


5. 完璧な人はいない前提で仕組みを作る

どんな優秀な人でも欠点はあります。

むしろ、

欠点があるからこそ組んで価値が出る

というのが組織の本質です。

  • 1人で1人分働けないなら、数人で補う設計にする

  • 個の完璧さを求めるのではなく、仕組み側で吸収する

これは、短期ではなく中長期の安定性に直結します。


6. 別れ方にこそ人格が出る

どんな組織でも退職・契約解消は避けられません。
このときに重要なのは、

「相手が恨みを残さない別れ方をする」こと。

  • 不必要に突き放す

  • 最後に嫌味を言ってしまう

こうした行動は、匿名の悪評や“足の引っ張り合い”を生みます。

逆に、

  • 「いなくなるのは残念」と伝える

  • 最後だけは丁寧に扱う

これだけで、無用な敵を作らずに済みます。


■ 組織づくりでやりがちな落とし穴


1. 会話不足と期待値のズレ

自律性を信じすぎると、会話が極端に減ってしまうことがあります。

しかし現実には、

  • 「指示してほしい人」の方が多い

  • 「何を考えているのか知りたい」というニーズも強い

というケースがよくあります。

“任せる”と“放置”は別物。
意図的に会話量を増やすことは、組織ではかなり重要です。


2. リスクを避けすぎて、機会損失を生む

「ノーリスクで伸ばすこと」にこだわりすぎるのもありがちな落とし穴。

  • 家賃を上げれば採用が加速する

  • 広告を踏めば事業スピードが跳ねる

こうした“踏めば伸びる”ポイントを怖がって避けると、
実は一番大きな損をすることがあります。

リスクを取らないこともリスク。
これは経営全般で言えることです。


3. 単価を低く設定しすぎる

“怒られたくない”“失敗したら怖い”という心理で単価を低くしすぎると、
事業が永遠に苦しくなります。

  • 価値に見合った価格設定

  • 恐れからではなく、戦略としての単価設定

この切り分けが重要です。


4. スマートさにこだわりすぎて「やり切り力」を軽視する

マーケティングや戦略が好きな人ほど、

  • 「スマートに勝ちたい」

  • 「泥臭いことはやりたくない」

と考えがちです。

しかし、現実に強い組織は、

地味な行動量 × 最低限の仕組み

の組み合わせで勝っているケースが多いです。

  • コンテンツ量を増やす

  • 営業活動を地道に継続する

  • 当たり前の作業を淡々と積み上げる

この“やり切り力”は、軽視すると急激に伸びなくなります。


■ まとめ:組織は「人に向き合う覚悟」で決まる

ここまでの内容を全体的に見ると、共通点がひとつあります。

それは、

組織づくりは「人と向き合う覚悟」があるかどうかで決まる

ということです。

  • 土台を整え

  • 尊厳を守り

  • 会話を増やし

  • リスクを適切に取り

  • 別れ方まで丁寧に扱う

こういう積み重ねが、最終的には組織の安定と成長につながります。

派手な戦略より、
こうした“地味だけれど本質的な部分”を見直していくことが、
結局は遠回りのようで一番の近道なのだと思っています。

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