消費税の最終的な負担者は消費者なのですが、この消費税を税務署に納付するのは消費者ではありません。では、消費税を納付しなければならない人(消費税の納税義務者)は誰になるのでしょうか。
消費税の納税義務者には2種類ある
「消費税 納税義務」というキーワードでGoogle検索してみますと、まず下記の国税庁のサイトが出てきます。
リンク先
このサイトの冒頭には次の記載があります。
消費税の納税義務者は、事業者と外国貨物を保税地域から引き取る者です。
消費税の納税義務者は「事業者」と「外国貨物を保税地域から引き取る者」の2種類となります。
この国税庁のサイトでは、さらに「事業者」を「1 国内取引の納税義務者」として、「外国貨物を保税地域から引き取る者」を「2 輸入取引の納税義務者」として解説をしています。
1 国内取引の納税義務者
まず、下記のような記載がなされています。
国内取引の場合には、事業者は、非課税取引を除き、事業として行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うことになっています。
このように、国内取引の消費税の納税義務者は事業者ですから、事業者でない者は納税の義務はありません。
国内取引(もちろん日本国内のことです)の場合は「事業者」が消費税の納税義務者になります。では、「事業者」とは具体的に誰なのか?、その答えはさらに先の文章にあります。
事業者とは個人事業者(事業を行う個人)及び法人をいい、法人には株式会社等の営利法人、公共法人、公益法人等のほか人格のない社団等も法人とみなされていますので公共法人、公益法人等や人格のない社団等も課税資産の譲渡等を行う場合には納税義務者となります。
上記の文章より「事業者」とは「個人事業者」と「法人」のこととなります。「個人事業者」とは商売をやっている個人のことですね。「法人」は株式会社や合同会社などの会社のことです。
この「個人事業者」や「法人」が非課税取引を除き、事業として行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うということです。
さらに重要な記載があります。
なお、消費税には免税点が設けられております。詳細については、コード6125「国内取引の納税義務者」や6501「納税義務の免除」をご参照ください。
「免税点」という概念が出てきました。簡単にいうと前々年、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の「事業者」は消費税を納付する必要がないということです。売上が1,000万円以下の小さい規模の個人事業者や会社は消費税の計算をするのも大変ですし、消費税の金額も少額であると考えられるからです。この「免税点」については他にもいろいろな決まりがありますので、次の関連記事をご覧いただけたらと思います。
関連記事
消費税を払わなくてもよい場合とは~消費税の納税義務の免除~
https://cpasakata.com/syouhizei-menjo/
2 輸入取引の納税義務者
まず、次の記載がされています。
輸入取引の納税義務者は、その輸入品を保税地域から引き取る者です。
保税地域という言葉がよく分からない言葉ですが、日本国内に輸入する物品を輸入の許可が下りるまで一旦置いておく場所のことです。
この保税地域から輸入品を引き取る者が消費税を納付しなければならないということです。通常は輸入業者が消費税を納付して、最終的な消費者に請求することになるのですが、個人輸入などで直接個人が輸入手続きをした場合、個人が消費税を納付することになります。そのことが次の文章で書かれています。
したがって、事業者だけでなく給与所得者や家庭の主婦なども輸入品を引き取った場合には、納税義務を負うことになります。
前述の国内取引の場合と異なり、「事業者」=個人事業者や会社に限らず輸入をした人はみんな、消費税を納付するということです。
また国内取引のような「免税点」はないことも記載されています。
輸入品を保税地域から引き取る者には免税点の規定はありません。
なので、国内取引のように1,000万円以下なら消費税を納付しなくてもよいというようなことはなく、少額でも消費税を納付しないといけません。
ただし、タバコやお酒などのお土産のような携行輸入については一定数量以下であれば、「免税」ということで消費税がかからないことになっています。
まとめ
国内取引
納税義務者は「事業者」、つまり「個人事業者」と「法人」です。
この「事業者」が次の要件を満たす取引をしたときに消費税がかかります。
・国内取引であること
・「事業者」が「事業」として行う取引であること
・対価を得る取引であること
・資産の譲渡・貸付、役務の提供であること
輸入取引
納税義務者に限定はありません。輸入する人でしたらサラリーマンや主婦でも消費税を納税することになります。
輸入品を保税地域から引き取るときに課税されます。